気まぐれアトリエ日記(1688)・・・個展2日目
9時30分に開場すると、版画家の葛西さんが入ってきた。「この頃、絵はまずドローイングが大事だと思うようになりました。そこからイメージを展開し造形する、マチエールより先に・・・何かヒントをもらった気がします。私はツメが甘いって云われているのでいい刺激をいただきました」私は「多少無造作なところが葛西さんの魅力だと思ってます。人間的でいいですよ」と、こたえた。
昨年亡くなった後藤さんの奥さんが娘さんと来てくれ「ここへ来ると主人のことを思い出します」と云って涙ぐんだ。「20年も毎年一緒に来てくれていましたからねぇ・・・4月には教室展があるので、今度からは是非お嬢さんと来てください」と云うと、うれしそうに頷いた。
行動美術の重鎮、根本先生が千葉から来てくれた。会場をみて「小杉さんの世界ですねぇ。これらを振り返ることは次の展開に繋がりますよ」などの感想を伺っていると、日本画の栗原幸彦さんがみえたので根本先生を紹介した。
根本先生の中学、高校時代の絵のエピソードは面白かった。栗原さんが「今、秋野不矩美術館で日本画の中村正義展をしていますよ。建物も建築家の藤森さんが設計したもので個性的ですから」「行ってみたいなぁ」「じゃあ、私が車で送りますよ」と栗原さんが云った。
しばらくして栗原さんから電話があって「道中、話がはずんで楽しかったです。今、館長が応対してくれ帰りのタクシーも西鹿島駅まで頼みましたので」「ありがとう、お世話さまでした」と私はお礼を云った。
掛川二の丸美術館館長だった久野彰先生の奥さんと娘さんが来てくれ「アマビエ」の絵の前でずっと何やら話をしていた。傍に行くと「この絵が気になって」と云った。「このキャンバスはS150号の変形で、久野先生の形見としていただいたものです」と云うと驚いた様子だった。私はなんだか不思議な因縁を感じた。
来館者は100名余りだったので、ひとりひとりとじっくり話が出来た楽しい一日だった。