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2019年7月17日 (水)

気まぐれアトリエ日記(1104)・・・表現

Img_0568 私のまわりでは昔からの習わしとして初盆のお宅へ焼香に行く。部屋いっぱいに盆飾りをして、縁側で親族が出迎える。一軒だけ、離れたところにも初盆の家があった。常日頃のお付き合いはないお宅だった。

焼香のあと、お辞儀をして頭を上げた人は昔デッサン同好会で一緒になったことがあるYさんだった。意外なところで出会ったので、私はハトが豆鉄砲食らったような顔をしたと思う。

「母の初盆なんです」Yさんは横に座っているお姉さんに「ひとつ川下の橋のそばの絵画教室の先生です」と紹介した。男性生徒のIさんは、そのデッサン同好会に入っていて、Yさんともスケッチ会で一緒になり「何でも話せるいい友達ができました」と云っていたのを思い出した。Yさんに云うと「私にとっても本当に大切なお友達です」と応えた。

Iさんは温厚で思慮深い人だ。読書が好きな文学青年(中年?)で話がとても味わい深い。今日思いがけずYさんと出会ったことを電話すると「お母さんの初盆とは知らなかったです、ありがとうございます」と云ったあと「話は違いますが・・・」とこんなことを切り出した。

「私はながい間、自分の思ったことなど心の中を外に出したことはなかったんですが、私にも心を表現することが出来るんだと改めて感じているんです。家で山羊を小さく描いて、それをとりまく空間をアクリル絵の具で何回もトライしたんですが、あまりにもとりとめがなくて途方に暮れ納得できずにいます。今度教室へ持っていきますのでみてくれますか」

Iさんは「とりとめがなく途方に暮れる」と云いつつ「私にも表現することが出来るんだと感じている」と云った。Iさんの心の中にある目に見えないものを色調やタッチに込めて描いているんだと思った。私は「楽しみにしてます」と云って電話を切った。

その絵を教室でみると、山羊をとりまく空間は瞑想的で深く美しい。思わず見とれてしまった。7~8年前教室を訪ねてきた時は石膏デッサンばかりしていたが、いつの間にか随分絵の解釈が進んだもの だと感慨深かった。

Yさんと野外スケッチしながら、読んだ本の話や旅の話、自分の絵についてじっくり腰を据えて話をするのだろう。絵を媒体として同じこころざしをもつもの同士の心の触れ合いは、同性異性を問わずお互いの人生をゆたかに彩ってくれる。

 

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